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アーティストが稼げる音楽ストリーミングサービスとは? 米パンドラの創業者が語る - マイナビニュース

アーティストが稼げる音楽ストリーミングサービスとは? 米パンドラの創業者が語る

インターネットラジオサービスを提供する米パンドラの創業者のひとりであるティム・ウェスターグレン氏が立ち上げたSessionsという新しい音楽ストリーミングサービスは、アーティストのために今後半年以内にSNSプラットフォームと広告ネットワークを通じて10億回のインプレッション数達成を目指すと約束した。

ここ最近は、掃いて捨てるほどのライブストリーミング・プラットフォームが存在する。それらの多くは、VRビジュアル、ゲーム形式のインターフェース、ジオフェンス(訳注:GPSやWi-Fiによる位置情報を使った仕組みのひとつで、仮想的な地理的境界線のこと)を使った”ローカルな”イベントといった華やかなサービスをユーザーに提供してきた。だがティム・ウェスターグレン氏は、これらすべては問題の半分にすぎないと考えている。

「誰かに観てもらえなければ、ライブストリーミングなんて無意味です」とインターネットラジオサービスを提供する米パンドラに20年勤務したウェスターグレン氏は本誌に語った。「(ライブストリーミングの)オーディエンスはわずかで、収益も低い。ミュージシャンにとって最高の新しいビジネスの形であるべきなのに、マーケティングと収益が欠けているのです」。

ここでSessionsを紹介しよう。Sessionsとは、ウェスターグレン氏が今年の4月に立ち上げた新しい音楽ストリーミングプラットフォームだ。同プラットフォームを利用するアーティストは、コンテンツを生配信することでチケットの売上やマイクロペイメント(訳注:少額の決済が手数料なしでできるシステム)によるライブ内課金から相当な利益が得られるだけでなく、ウェスターグレン氏の会社は自らの資金を投じてこうしたアーティストのマーケティングやプロモーション活動を行うため、Sessionsは2つの解決策をアーティストに提供することになる。ひとりのアーティストがSessionsに加入するごとに同社はアーティストと直接パートナーシップを結び、ファン層の拡大を図る。「ファン層が広ければ広いほど、マーケティングに使う金額は多くなります」とウェスターグレン氏は言う。現在Sessionsは、アーティストのために今後半年以内にSNSプラットフォームと広告ネットワークを通じて10億回のインプレッション数(訳注:広告の表示回数)達成を目指すという目標を掲げる一方、コロナ禍でアーティストのマーケティング活動に積極的に投資している唯一のライブ・エンターテイメント会社を自称する。


Sessions

アーティストの持続的な収入源になるというSessionsの主なミッションは、ウェスターグレン氏にとって私的なものでもある。同氏は共同創設者のひとりとして2000年にパンドラを立ち上げ、数年にわたって同社のCEOを務めた。広告サポートとサブスクリプションがベースのビジネスモデルを前提としたストリーミング・プラットフォームを実現しようとパンドラがもがき続けるなか、ウェスターグレン氏は2017に同社を退社。退社後のインタビューでは、ライバルとなる新興の音楽ストリーミングサービスが登場するなかで自らの道を失ってしまったパンドラに対する苛立ちを語り、「傷ついた心」と「やり残した感覚」を抱いたまま退社したことを明かした。

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「パンドラの存在理由は、アーティストの人気を底上げするための認知度アップとプロモーション活動の実現でした。そのためにパーソナライズされたステージを構築し、そこから何百万もの異なるラジオ局にアクセスできるようにしました——すべてのアーティストにファンを発掘する方法を提供するために」とウェスターグレン氏は言う。「私たちは、活動中のアーティストが直面する財政面での現実にインパクトを与えることができませんでした。アーティストの露出が増えたからといって、それが儲かるとは限らなかったのです。退社以来、私はこの未解決の問題についてずっと考えています」。

パンドラとの決別後、ウェスターグレン氏はKhosla Venturesというベンチャーキャピタルと、Next Musicというビデオゲームから着想を得たVR音楽フェスを企画するスタートアップ企業に数年勤務した。そこで彼は、ビデオゲームの収益化の複雑さに衝撃を受けた。「ゲームには、信じられないほどの大金が注がれています」とウェスターグレン氏は言う。「これは精巧に作られたバーチャル・エコノミーです。ある意味では、ゲームは音楽を追い越してしまったのです——ゲームは最初から準バーチャルなものでしたから」。

ウェスターグレン氏は、ゲームから拝借したいくつかのアイデアをもとにSessionsを設立した。アニメーション化されたアバターや、ゲームの世界のなかで少額を払って楽曲をリクエストしたり、アーティストに声援を送ったり、プレゼントを贈ったり、仲間うちのチャットに参加したりすることでアーティストはバーチャルチケットの売上に加え、こうした課金機能からも収益が得られる(大道芸人のパフォーマンスを見て、「うわーすごいな!」と感動し、ポケットの財布に手が伸びるようなイメージ)。Next Musicの創業者であり、アプリ開発者でもあるゴードン・スー氏は、Sessionsの創業者のひとりであると同時にCEOを兼任している。

Sessionsは、アマチュアから給料を得て活動しているプロまで、150組のマイナーなアーティストとともに始動した。いまでは、ひとつのイベントごとに5000〜2万ドル(約53万〜212万円)を稼ぎ出す、もっとメジャーなアーティストを迎えるまでになった。その代表例はシンガーのアリー・ブルックだ。Sessionsはブルックのライブとニューシングルのプロモーションを支援し、SNSやインターネット広告の表示回数を1500万回に押し上げた結果、ブルックの楽曲はiTunesチャートで1位にランクインした。

「先週末は、あるアーティストが5日間で1万ドル(約106万円)相当のチケットを販売しました」とウェスターグレン氏は言う。「ほかの金額が少なく見えるほど、凄まじい数字です。これは、私たちがマーケティングと収益化の方法を心得ているからできるのです。私たちは、ファンの衝動をとらえるのが得意です。音楽サブスクリプション・サービスで年間1万ドルを稼いだ人が何人いるか、知りたいところですね」。ウェスターグレン氏曰く、このアーティストはチケットの総売上の30%とマイクロペイメントによるライブ内課金の70%相当の利益を生んだ。

だが、Sessionsにはこの先、熾烈な競争が待ち受けている。新型コロナウイルスの感染拡大にともなうロックダウンによって急成長を遂げている「ライブストリーミング業界」は、すでにさまざまな選択肢でパンク状態だ。それに、画面越しにファンと交流することに慣れていないアーティストの多くは、ライブストリーミングというアイデアを受け入れる時点で新しい課題に直面する。Patreonのようなサービスがサブスクリプションやチップ的な支払いを通じてファンがアーティストを支えるサービスを提供する一方、Facebookのような大手IT企業では、カスタムプライシングや寄付を前提とした支払い方法が解禁された。Spotifyをはじめとする音楽ストリーミングサービス企業は、ベッドルームでレコーディングを行うアマチュアからエリートミュージシャンにいたるまで、中産階級アーティストをつくるための持続可能な収入源という魔法を提供することをSessions同様に宣言している。

「Twitch、Facebook、Instagramなど、いまは何百ものライバルがいます。これらは今後も成長を続けるでしょう。というのも、これは誰が見ても新しいフォーマットだからです」とウェスターグレン氏は語った。それでも彼は「私たちと同じことをしている会社はひとつもありません」と譲らない。Sessionsはデジタルイベントを開催する場だけでなく、成長と収益化を実現するためのチャンスをアーティストに提供しているのだ。

「要するに、オファーとはツールの集大成なのです」とウェスターグレン氏は言う。「でも、これだけでは足りません。私たちは、成功しているアーティストのケーススタディを次から次へと行います。私たちのマーケティング戦略は、独自のサクセス・ストーリーを生み出し、それを大声で掲げるというシンプルなものなのです」。

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September 08, 2020 at 03:30PM
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