<巨人3-3ヤクルト>◇30日◇東京ドーム
巨人長嶋茂雄終身名誉監督(84)が2年連続のリーグ優勝を祝福した。
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哲学者でも、科学者でもないが、私は1つのセオリー(理論)を大切にしている。それは“ジャイアンツセオリー”というものだ。内容的には、ジャイアンツがジャイアンツとして、存在し続けるためには、4つのことをしなくてはならない。ただ、これが意外と難しい。しかし、今季の原監督は、そのジャイアンツセオリーを実践していたかのごとく、見事なまでの成果をみせた。
1つ目は、言わずもがな、勝ったことである。他チームも同じ条件とはいえ、戦い方において、無観客で開幕した今年ほど、難しいシーズンはなかったように思う。そんな中、原監督は選手に個別の指針を示し、選手は原監督の期待にしっかりと応えた。ゲームにおける戦術や選手の的確な起用法は見事だった。テレビ観戦をしていて「たいしたものだな」、「私は原監督の足元にも及ばないな」、と考えさせられる場面がしばしばあった。
2つ目は、若手を育て、ベテランとの融合を図ったことだ。吉川尚、松原、田中俊、若林らの若手がスタメンに名を連ねるようになった。また北村は、坂本や丸のベテランが不調だった時に、サポートする形で活躍した。戸郷も20歳とは思えぬピッチングをする。よほどいい度胸をしているのだろう。そういう意味では、原監督の育成方針と阿部2軍監督らのファームの指導者にも拍手を送りたい。
3つ目は、ジャイアンツの“顔”を作ったことだ。別に顔の定義があるわけではない。ただ、レギュラーとして活躍し続け、抜きんでた実績を残し、誰からも愛される。行きつく所は、つまり「紳士」ということになるのかもしれない。そういう意味では、坂本、菅野、丸に続き、岡本もいい顔になってきた。久方ぶりの「4番サード」だ。守備も安心して見られるようになってきた。あと足りないのは、(私のような)格好良さかもしれない(笑い)。
そして、最後は、ファンとともに次の時代を見据えることができたことである。なぜなら、ジャイアンツは、永遠に、ファンのための、ファンの共有物でなくてはならないからだ。ところが、今季、原監督はその土台をしっかりと築いてくれた。このたび連覇で、私は確信した。まずは5連覇、そして見据える先は10連覇でいこう、と。4つのことが全て実践されたことで、ジャイアンツの伝統は確固たるものになるだろう。原監督、よくやってくれた!
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