ライターI(以下I):昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公北条義時を演じた小栗旬さんが、『どうする家康』の最終回でサプライズ出演を果たしました。なんだかこういうの、いいですね。今回の『どうする家康』での天海役も含めると、小栗さんの大河ドラマ出演は9作目となります。大河の常連、すっかりベテランですが、まさかの出演でしたね。
編集者A(以下A): 松本潤さんと個人的に親しいということで実現したようですね。昨年は座長としての立ち振る舞いが凄いということを幾度も記事にしましたが、こういうサプライズはうれしいですね。
I:『鎌倉殿の13人』の最終回で若き日の家康(松平元康)演じる松本潤さんが『吾妻鏡』を読むシーンで登場したのが、つい昨日のことのように感じられます。ほんとうにほんとうにあっという間の1年でした。今回、その小栗さんがコメントを寄せてくれました。なんだか感慨深いです。まずは、「1年ぶりに大河ドラマの撮影スタジオに入られたご感想は?」というベタな質問と『どうする家康』の感想を語ってくれました。
もちろん、スタジオは同じなので「懐かしいな」と感じましたけど、当然ながら中のセットの感じはずいぶん違うので、なんだか不思議な気持ちになりました。ドラマの前半は、自分がやってきた義時もそうだったように、いろんなことに翻弄されながら、それでも乱世を生き抜くところが描かれてきましたが、最近は年も重ねて、徳川家康として「修羅の道を行く」という話まで進んできたので、ここから先がさらに楽しみだなと思いながら見ていました。それにやっぱり1年以上やってきた中で、役に対する深みとか重みとか、経験してきた人にしか出せないお芝居が出てくるので、そこは一視聴者として楽しみに見たいなと。
A:前年に主演を張り、座長として演者を牽引してきた小栗さんならではの至言ですね。昨年の今ごろ、「小栗義時」の一挙手一投足に注目していたことが懐かしく思い出されます。
I:本当ですね。さて、小栗さんのお話はさらに続きます。「天海役で出演されるにあたって、どんなお気持ちで臨まれましたか?」という質問への答えです。
僕が主演を務めた『鎌倉殿の13人』の最終回、松本潤くんに出てもらったので、以前から制作陣に、何かしらの形で出てくれたらうれしいとは言われていたんです。ですから、最後の最後でオファーをいただいて出演できるのはうれしいなと思ってお受けしました。ただ実を言うと、天海がこの時代にはかなりの高齢だということを、僕がいまいちわかっていなくて。かつらやメイクを合わせていくうちに「果たしてこれは、私であるべき役なんだろうか?」っていうクエスチョンが浮かんだまま、撮影当日にたどり着きました(笑)。でも、お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、劇中で『源氏物語』と『吾妻鏡』を持たせていただけたので、大河と大河の橋渡しと言いますか、何かしらつなげる役割も果たせたのかなと思っています。
A:この小栗さんの話がとってもおかしくて、思わず笑っちゃったのですが、いや、そのくらいの感覚で出演するのがちょうどよかったのではないかと思いました。最終回でいきなり天海が登場しますが、実際には天海は大坂の陣以前から家康の参謀のひとりで、ドラマでも描かれた方広寺の鐘銘問題にも関わっていたと言われています。蘆名氏の出だとも言われますが、前半生が謎に包まれているため、実は明智光秀なのではないかと伝承される怪僧です。
I:『吾妻鏡』と『源氏物語』も家康の愛読書。ドンピシャの演出になりました。そして、小栗さんは天海という「老人」役を演じたことについても語ってくれました。
見た目、ほぼほぼ誰だかわからない感じだったので、その見た目を利用するというわけではないですけど、自由に楽しくお芝居させてもらいました。そのほうが面白くなるかなと。義時は役柄上、我慢の芝居のほうが多かったから、今回は『鎌倉殿の13人』の時にはできなかったほうの振り幅で演じさせていただきました。果たして、皆さんが思い描く南光坊天海だったかどうかはわからないんですが(笑)。
A:なんだか楽しく演じられたようで何よりでした。確かに見た目は誰だかわからない体でしたしね。
I:はい。おちゃめな天海でしたよね。「神君」を造り上げていく上で、若い頃の家康の弱くて臆病でダメダメなところについては「(そんなこと書いちゃ)ダメ!」とか言っていました(笑)。そして小栗さんは、視聴者へのメッセージを発してくれました。
脈々と受け継がれてきた時代の中で、鎌倉時代に生きる人間を演じた僕が、今度は戦国時代に、また全然違うキャラクターで出させてもらったことは、感慨深かったです。1シーンでどんなことができるかわかりませんでしたが、連綿と続いてきた時代や人のつながりを感じさせる役を演じて、いい経験をさせてもらいました。それに、最終回に向けて重い展開が続いてきた中で、ああいうシーンがあるのもよかったんじゃないかと思っていて。きっと、天海に対して深い思いを持つ視聴者の人たちもいらっしゃるとは思うのですが、それは一度忘れていただいて(笑)、今回、天海は箸休めとして出てきたんだなと思って楽しんでもらえていたらいいですね。
I:小栗さんのいうように、こういうシーンがアクセントで入ることは重要ですよね。そして小栗さんが気にしているのは、天海なら『麒麟がくる』で光秀を演じた長谷川博己さんなのでは? というネットの声を意識してのことだと思います。
A:天海=光秀説がありますからね。でも、私は小栗さん、しっかり『どうする家康』を視聴して展開をしっかり把握してたんですね。こっちの方がびっくりというかさすがだなと感じています。
I:せっかくですから、小栗さんと松本潤さんが共演する歴史物語、なんか見たいですね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。
●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり
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