大河ドラマ「光る君へ」の第2回「めぐりあい」。まひろ(紫式部)は恋に悩む人々のために和歌や文を代筆することを生きがいとしていました。ひそかに高辻富小路の絵師(三遊亭小遊三さん)の工房に通い、幕の陰に隠れて男のふりをして依頼を受け、その見事な出来栄えに依頼人たちは感嘆。彼女の文才が早くも煌めきはじめる印象的なエピソードでした。
まひろの作として、いくつかの歌が登場しました。手紙や歌、書が重要な意味を持つドラマならではの“小道具”でしょう。画面ではほんの一瞬でしたが、せっかくなのでここで詳しく紹介します。写真はいずれもNHK提供です。最初に登場したのは下の歌でした。
ちりゆきて またくる春はながけれど いとしき君に そわばまたなん
続いては、下記の桜をテーマにした歌。1番目と2番目の歌はいずれも芸能考証担当の友吉鶴心さんのオリジナル作品です。
いまやはや 風にちりかふ 櫻花 たたずむ袖の ぬれもこそすれ
ところがこの歌をまひろに作ってもらい、女性の元を訪ねた依頼主の男性は、意中の人から「あなたと桜を見たことなんてない」と歌を突き返されてしまいました。ショックを受けたまひろは再度、女性の心をつかむための歌を創作。依頼主から「女の人の家には夕顔が咲いていました」と聞き、作ったのが下の歌でした。
寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 花の夕顔
(現代語訳)近くによってはっきり御覧になったらどうですか。黄昏時にぼんやり見えた夕顔の花を
結局、こちらの力作も女性には効かなかったようですが、まひろのアドバイスで正直に自分の事を話した依頼主は、恋を成就させます。さて、この「夕顔」の歌には出典があります。「あっ」と心当たりのある源氏物語ファンも多いかと存じます。『源氏物語』第4帖「夕顔」に登場する光源氏の歌です。光源氏は訪問先の隣家に住んでいた女性、夕顔からこんな歌を贈られました。
心あてに それかとぞ見る 白露の 光添へたる 夕顔の花
「あなたはもしや光源氏ではありませんか?」という問いかけです。
それに対して光源氏が返したのが、上の「寄りてこそ~」です。しっかりとみてみれば光源氏かどうかわかりますよ、会ってみませんか。ということでしょうか。
いずれにせよ、この歌の贈答をめぐるやり取りを通じて、まひろは「恋愛関係で、ウソをついてはいけない」と学びました。これからの道長とのやり取りや、『源氏物語』の創作をドラマで描くにあたって、またこの歌が出てくることがあるのでしょうか。覚えておきたいエピソードと歌ですね。
吉高さん「父が好きだからこそ衝突する」
第2回「めぐりあい」では、まひろと、父の藤原為時(岸谷五朗さん)との対立もじっくりと描かれていました。
まひろの母、ちやは(国仲涼子さん)の死をきっかけに、関係に大きな溝が出来てしまった二人。吉高由里子さんは、番組公式のインタビューで「まひろにとっては父は一番尊敬する人だと思います。だからこそ諦めたくない部分、譲りたくない部分もある」と父娘関係を表現。「すごく好きな父親を知っているだけに変わっていく父が嫌。好きという気持ちがあるから衝突する」と話していました。
【君語り】に注目!
出演者が登場シーンなどについて語るミニインタビューは、【君語り】として番組公式HPにアップされています。上記の吉高さんのお話も、↓から全部を見られます。いずれも2分前後の短いものですが、内容は濃く、演技の狙いやシーンの意図を知ることができます。振り返ってみてはいかがでしょう。
https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/movie/
(美術展ナビ編集班 岡部匡志)
◇「美術展ナビ」には「光る君へ」の関連記事がたくさん。「徹底ガイド」↓でまとめて読めます。
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