「カメラ小僧」の愛称で親しまれ、山口百恵さんや宮沢りえさん、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻など著名人を撮り続けた写真家は「超陽性」の人だった。
「女優の大原麗子さんってきれいでしょう。それでもメイクをして、きれいな洋服を着て、ライティングをして撮る。写真を撮ること自体が、基本的に『うそ』の行為なんです」と語った。
「僕の写真はどんどんうそをつき、その人をもっと美しくしちゃう」
撮影した有名人たちのエピソードを聞くと、面白おかしく、ユーモアを交えて語り続けた。
もじゃもじゃ頭がトレードマーク。撮影では「表現者」然とせず、明るく声をかけ、被写体に寄り添った。
小学生の時、実家近くに住む外国人が飼っていたシェパードを撮影し、写真をあげると、とても喜ばれたことが原体験だった。「写真を見せたら褒められたいんです。それさえあれば僕の表現は完成して、エゴは満たされる」と話す。
撮影では、その人の長所を強調するような撮り方を追求した。米国ニューメキシコ州で撮った宮沢さんの写真集「Santa Fe」でも、その姿勢は貫かれた。「彼女、18歳になった前後かな。聖女だよね。聖女を撮るには聖地で撮るべきだと思って、サンタフェがいいって言ったんです」
好奇心が旺盛で、デジタル写真など新たな技術も積極的に取り込んだ。
大衆を対象とした雑誌や写真集といった印刷メディアを長く、主戦場としてきた。「美術館は作品の死体置き場」と言い、美術館での展示には消極的だった。だが心機一転し、時代を担った人の肖像写真を集めた「写真力」展を2012年から全国の美術館を巡回させた。すると、約7年間で100万人超を動員した。
写真という虚実皮膜の世界に生きた巨星は、「被写体にも、読者にも喜ばれる」最良の仲介者だった。(文化部 森田睦)
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